日本には、「和を以て貴しと為す(Cherish the harmony among people)」という思想が根付いていますが、生まれながらにして赤の他人と湯を共にする日本独自の銭湯文化も、和を重んじる風土に一役買っているなぁとつくづく思います。カースト文化に基づく淨・不浄の思想が根付いているインドでは、考えられないことですから。
有馬温泉は、天皇の命によって編纂された日本最初の勅撰国史、『日本書紀』に登場する日本三古泉のひとつ。
日本神話に登場する大已貴命(おおなむちのみこと‐別名大国主命)と少彦名命(すくなひこなのみこと)が薬草を探して旅をしているときに、有馬温泉の源泉を発見したとされる由緒ある温泉。
この二神は力を合わせて国を治め、人々や家畜の病気の治療法を定め、獣や昆虫の害をはらうまじないを教えたと伝えられています。
灯台下暗し。関西圏に住む私は有馬⇒長く浸かるお風呂というのがインプットされていて、幼稚園の頃から幾度となく温泉に入りはするものの、観光したことが無かったので、今回初めて、お参りがてら、少し散策してみました。
温泉禅寺は、車道からかなり離れた高台の場所にあり、階段を上ると薬師如来をご本尊とする本殿が見えてきます。
ベジタリアンにとって嬉しいことに、このお寺では、事前予約をすると11:30~13:30の二時間内に普茶料理(一人5000円)を頂けるほか、座禅体験も出来るとのこと。次回有馬温泉に行った時はぜひ試してみたいと思いました。
温泉寺の右横の階段をさらに上がると有馬の氏神、湯泉神社があり、大己貴命・少彦名命・熊野久須美命の三神が祀られています。信仰の垣根を超え、神社と寺院が仲良く隣り合って建立されているところが、なんとも宗教に対する日本人の寛容さが現されていて素敵です。
有馬には鉄分と塩分を含み、赤茶色でとろりと濁った泉質の金泉と炭酸を含んだ温泉と、ラドン泉を含む放射泉の銀泉、2種類がありますが、民家が立ち並ぶ一角にひっそりと金泉の元湯があったので驚きました。
もちろん、昔の佇まいも素敵。私達は、有馬名物の炭酸せんべいを、お土産に買って帰りました。
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